沖縄科学技術大学院大学学位記授与式
本学は、2012 年 9 月の開学(学生受入れ)から 五年の月日を経て、この度、2018 年 2 月 24 日に初めての学位記授与式を執り行いました。博士課程を修了した大学院生を世に送り出すこの式典は、本学にとって記念すべき日となりました。また、最も革新的な世界最先端の大学院のひとつが日本に確立した日でもあります。
本学の講堂で執り行われたこの式典では、ノーベル賞受賞者であり、アメリカ合衆国エネルギー長官を務められたスタンフォード大学教授のスティーブン・チュー博士より祝辞を頂きました。また国内外から学術、産業、行政の各界を代表する方々、及び本学の設立に大きく貢献された方々約500名が招待されました。
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沖縄科学技術大学院大学とは
沖縄科学技術大学院大学は、世界の50を超える国と地域から集った教職員・学生が研究に勤しむ国際色豊かな研究大学院であり、教員の 6 割以上が海外出身者です。学内の公用語は英語で、世界の科学界、産業界で活躍できる優秀な若き科学者を輩出することを目指しています。また、従来の大学に見られる学部間の壁を取り払い、教員や研究員、学生間で発想や知識、研究手法や経験を共有することにより、知の共創を図ることに尽力しています。実際に異分野の科学者たちが各々の専門性をもって協働することにより、新たな研究領域が生まれています。
さらに、研究成果を迅速かつ効果的に、産業界およびベンチャー企業へ技術移転し、実用化につなげるため、沖縄県および産業界との緊密な連携を図り、先端技術産業を主体とした地域の自立的な経済発展へ寄与することを目指しています。このような大学院大学を擁する沖縄は、今や科学技術の一拠点として世界的に認知され始めています。
アカデミックドレス
アカデミックドレスと呼ばれる式服は、ヨーロッパで大学が誕生した時代に遡る長い歴史をもつ伝統です。当初、学生や教授らが制服として着用したものでしたが、近年では大学で執り行われる式典などの正式な場でのみ見られるようになりました。
OIST初の学位記授与式のために製作したアカデミックドレスは、すべて学生によるデザインで、OISTカラーである赤、白、黒を取り入れた仕上がりになっています。背中にかかる部分であるフードは博士課程修了生のみが着用することができます。フードの縁には地元で製作されたグーシ花技法を用いたミンサー織りの帯地を使用し、赤、白、黒で表現されたデザインには、地元に代々伝わる「縁起」の模様として金運と招福を意味する「金花(ジンバナ)」、長寿を意味する「風車花(カジマヤーバナ)」、さらに科学を象徴する正弦波が織り込まれています。
この帯地には手染めの施された綿糸が使用され、読谷山花織(ユンタンザハナウイ)事業協同組合でその伝統を守る我喜屋美小枝氏により、心を込めて手織りされています。この度、アカデミックドレスの製作にご協力いただきましたことを関係者一同心より御礼申し上げます。
プログラム
2018年2月24日 土曜日
OIST 講堂
1:30 pm
- 開場
2:00 pm
- 開式・前奏
2:10 pm
- 開式の辞 OIST 学長 ピーター・グルース
- 来賓挨拶
- 祝辞 スタンフォード大学 スティーブン・チュー博士
2:50 pm
- 間奏・休憩
3:10 pm
- 学位記授与 OIST 研究科長 ジェフ・ウィッケンス教授
4:10 pm
- 謝辞 修了生代表 キャロリン・スタージンスキ博士
4:20 pm
- 告辞 OIST 理事会議長 チェリ-・マレイ博士
4:30 pm
- 後奏・退場後閉式
来賓
スティーブン・チュー
チュー博士はレーザー光を用いた原子の冷却・トラップ法の開発により、1997年度のノーベル物理学賞を他の研究者と共に共同受賞されました。現在は、スタンフォード大学医学部にて物理学及び分子細胞生理学の教授として活躍されています。博士はスタンフォード大学の物理学及び応用物理学の教授、そしてローレンス・バークレー国立研究所の所長を歴任され、2009年から2013年4月末までの期間、第12代アメリカ合衆国エネルギー長官を務められました。
チュー博士は、カリフォルニア大学バークレー校にて物理学の博士号を取得され、後に31の名誉学位を授与されています。現在、博士は米国科学アカデミー、米国哲学協会、アメリカ芸術科学アカデミー、中央研究院、英国国立協会、英国王立工学アカデミー、中国科学アカデミー、韓国科学技術アカデミーの会員として幅広く活動されています。研究者としてもイノベーターとしても実に多くの成果を残して来られ、これまで280を超える論文を執筆し、14の特許を取得しておられます。
講演者
ピーター・グルース
学校法人沖縄科学技術大学院大学学長
チェリー・マレイ
学校法人沖縄科学技術大学院大学学園理事会議長
修了生
マーク デイリー
指導教員:
シーレ ニコーマック研究ユニット:
光・物質相互作用ユニット学位論文:
Light-induced interactions using optical near-field devices
(光近接場デバイスを用いた光誘起相互作用)リー ジェームス オリオーダン
指導教員:
トーマス ブッシュ研究ユニット:
量子システム研究ユニット学位論文:
Non-equilibrium vortex dynamics in rapidly rotating Bose-Einstein condensates
(急速に回転するボース・アインシュタイン凝縮体における非平衡な渦運動)ファイザル マームッド
指導教員:
ウルフ スコグランド副指導教員:
北野 宏明研究ユニット:
構造細胞生物学ユニット学位論文:
Algorithmic and architectural developments for cryo-electron tomography
(クライオ電子トモグラフィーのためのアルゴリズムおよびハードウェアの開発)マルト トーツ
指導教員:
ウルフ スコグランド研究ユニット:
構造細胞生物学ユニット学位論文:
Exploring the potential of cryo-electron tomography on protein nanocrystals for molecular structure determination
(低温電子線トモグラフィーによるタンパク質ナノ結晶の分子構造解析の可能性を探る)ドンシン ザン
指導教員:
田中 富士枝研究ユニット:
生体制御分子創製化学ユニット学位論文:
Amine catalyzed functionalization of enolizable ketones
(アミン触媒を用いるエノール化可能なケトンの官能基化)イージュン ルオ
指導教員:
佐藤 矩行研究ユニット:
マリンゲノミックスユニット学位論文:
Insights into lophotrochozoan evolution and the origin of morphological novelties from brachiopod, phoronid, and nemertean genomes
(腕足動物、箒虫動物、紐形動物の比較ゲノム科学的研究:冠輪動物の進化と形態的新奇性の起源への洞察)ケネス バックマン
指導教員:
佐藤 矩行研究ユニット:
マリンゲノミックスユニット学位論文:
Decoding and analysis of the Crown-of-Thorns Starfish Acanthaster planci genome
(オニヒトデAcanthaster planciのゲノムの解読と解析)リコ ポーレ
指導教員:
ニック シャノン研究ユニット:
量子理論ユニット学位論文:
Signatures of novel spin liquids in kagome-like lattices
(擬カゴメ格子上で発現する新奇なスピン液体の特徴的性質)ザファー ハワッシュ
指導教員:
ヤビン チー研究ユニット:
エネルギー材料と表面科学ユニット学位論文:
Surface science studies of perovskite solar cells: spiro-MeOTAD hole transport material and perovskite absorber
(ペロブスカイト太陽電池の表面科学:Spiro-MeOTAD正孔輸送材料とペロブスカイト吸収体)キャロリン スタージンスキ
指導教員:
柳田 充弘研究ユニット:
G0細胞ユニット学位論文:
Investigating ancient metabolic reactions contributing to G0 quiescence survival in fission yeast S. pombe
(分裂酵母 S. pombe におけるG0静止期生存能に寄与する古代代謝機構の発見)ツォン リウ
指導教員:
エヴァン エコノモ研究ユニット:
生物多様性・複雑性研究ユニット学位論文:
Understanding the ecological and evolutionary processes shaping ant biodiversity across spatiotemporal scales
(異なる時空間スケールにおけるアリの多様性を形作る生態・進化的プロセスの解明)ニンニョ エスピナス
指導教員:
佐瀨 英俊副指導教員:
ウルフ スコグランド研究ユニット:
植物エピジェネティクスユニット学位論文:
rCBP-dependent regulation in rice innate immunity
(イネ自然免疫におけるrCBPの機能)池上 慶太
指導教員:
佐藤 矩行研究ユニット:
マリンゲノミックスユニット学位論文:
Comparative transcriptome analysis of basal deuterostomes and its implications for the phylotypic stage
(新口動物における比較発生トランスクリプトミクスとファイロティピック段階に関する研究)高橋 大介
指導教員:
菅原 寛孝副指導教員:
氷上 忍研究ユニット:
最先端医療機器開発ユニット学位論文:
Minimal gauged U(1) extension of the Standard Model with classical scale invariance and phenomenology
(スケール不変なU(1)ゲージ拡張された標準模型とその現象論)